敷地は、京都市北区、古くからの閑静な住宅地に位置する。夫婦と子供2人の住宅であり、クライアントの要望は、家中どこにいても家族の気配を感じられることと、リビングと連動した庭が欲しいということだった。平坦な地盤に、敷地に沿って家屋が立ち並ぶ景色の続く平板化された地域において、周辺環境に依存することなく、快適な住環境を得ることを意図した。間口7.3m、奥行27.3m、高さ6.4m。 隣地境界に沿って建てられた2枚の壁により建物全体のヴォリュームが決定される。 ヴォリューム内にレベルの異なる5枚のフラットスラブが浮遊し、それぞれの空間をつくりだす。奥行方向に規則的に連続する柱は、上下に不規則なスラブをひとつにつなぎ、規律を与える。レベル差により、それぞれのヴォリュームは多様なものとなるとともに、どこにいても空間全体を見渡すことを可能にし、空間どうしに立体的なつながりが生まれる。また、上下のスラブのズレは前庭・中庭・後庭と3つの外部空間をつくり、内部空間と連動し光を届ける。奥行方向へとつながるこのワンボックス空間に、立体的に連続するそれぞれのヴォリューム。構造的要素と住空間との公約数的なリズムのある空間を意図している。
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